《起承転結の承》



 最初の病院は救急の色合いが強く、P氏の入院中にもP氏と同じ病状の人が何人か運ばれては亡くなったりしていました。何とか生き残ったP氏はリハビリが強い病院に転院を決意しました。
最初の病院の主治医である先生は2件のリハビリが強い病院を紹介してくれました。1件はよく噂を聞く病院です。交通事故で瀕死の状態で救急車で運ばれていた患者さんが、その病院に運ばれる事が決まると、「お願いだからあの病院だけはやめてくれ!」とお願いしたとか、噂を挙げるときりがないくらいです。そこでP氏はもう1件の病院を迷わずに選びました。って言うか、憶えてないけど、本人が決めたらしい・・・(^^;。この辺の事情、もしかすると誹謗中傷っぽいかもしれないけど、実名は挙げてないし、本当のことだから許してね。けけけ・・

ということでP氏は11月の終わりに転院しました。転院した先は6人部屋でした。部屋の方々はお年寄りばかりでした・・・
配置は入り口の左側がP氏、H氏、Sa氏。右側からA氏、Si氏、K氏。ちょっと観察してみましょう。

(P氏の場合)
なくて七癖と言うくらいだから、きっといろんな癖があるのだろうけど、本人は解らないらしい・・・(^^;;;。「俺には癖なんかない!」とか言ってるから、とりあえず信じておきますかね・・・。

病状の方は、最初の病院の時と比べたら雲泥の差くらい良くなってます。最初の病院の記憶が定かでないP氏も、病院を移ってからは記憶もどんどんとはっきりして来ました。
身体の方も、寝たきりだったのが、ベットの上で自力で起き上がったり、車椅子で自由に動けるくらいまで快復しました。土曜、日曜日以外の2時間のリハビリのおかげでしょうね。
ただ、問題も出てきています。頭がはっきりするにつれ、病院での時間が遅く感じられるようになってきました。少しづつ変化がみられるようになってきたのですが、詳しくは『転』第3話でかきましょう。ここでは同室のおじいちゃん達を見てみましょう。


(A氏の場合)
かなりご高齢に見えるけど、実際のところは何歳かはP氏にはわからない。咳が止まらないようで入院したみたい。
病院ではいろいろな治療を施すのだが、ある日、肺に強制的に空気を入れて肺を膨らませる治療が始まった。このために病院では新しい機械を導入したようだ。
そして本格的に治療に入る前に練習として短い時間治療をしていた。が、A氏はどうもその機械が苦手だったようで、練習が済んだある日の夜中に、ナースコールで看護婦さんを呼んで「どうもあれは良くない。あれをそのまま続けると大変なことになるような気がする。」などとのたまっておられました。
つまり治療したくないばかりに、夜中の2時とか3時に看護婦さんを呼ぶっていうのがすごい。さすが老人、あなどれん・・・(^^;;。

そしてその翌日,A氏は本当に治療を拒否していた。
(看護婦さん)「お願いだから、30分でもいいからして?」
(A氏)「30分でも1分でもせん!」
(看護婦さん)「私たちが先生に怒られるから少しでも・・・」
(A氏)「せんといったら、わしゃせん!」
看護婦さん、本当に困っていました。A氏はと言うと、これだけ看護婦さんを困らせても、その夜ナースコールを抱きしめて寝るA氏でした。

また、A氏の見舞い客の中に、P氏たちの方を見渡して、
「人間、こうはなりたくないな」
「おいだったら死んだほうがよかばい」(自分だったら死んだほうがましだ)
などと聞こえるような声で言っていやがった・・。相変わらずこんな人種もいきのこっているのね・・・。思うのは勝手だけど、聞こえるように言うなよな。
死にたけりゃ、勝手に死ねばいいしね。
それと、本当に倒れて半身不随とかになったら、自殺しろよ、くそじじい(^^;;;。


(H氏の場合)
このかた、寝たきりで、ベッドでは全く動かないご老人なのですが、リハビリの部屋ではガンガン歩いています。元気になったP氏の何倍も元気に見えます。
かなりのご高齢らしいけど、腕がでかい・・・。まるでポパイの腕のようにデッカイよ・・・。殴られたら、死にそうな気がするな。


(Si氏の場合)
この方もかなりのご高齢。寝たきりの老人だったんだけど、ある日ベットの上にムクッとおきあがった。この日を境に車椅子には乗るは、自分の足で歩くは、元気なおじいちゃんの変身しちゃった。何の具合なんだろうね。難しいね・・・

『後日談』このおじいちゃん、ちゃんと元気に退院されました。

(Sa氏の場合)
この方は酒を飲んで、こけたらしい。すぐに病院に行ったのだが、町の小さな病院では、傷を消毒した程度だったらしい。そしてこの病院に来られたんですが、すでに頭のネジは緩んでいたみたいで、わからないまま徘徊したり、ご機嫌斜めの時は警官になって、「名前は?嘘をついたら偽証罪で逮捕するぞ!僕は警官だ。」などと言ったりする(^^;。
どこのネジが緩んだんだろうね?身体だけならP氏よりはるかに健康なのに・・・。

『これまた後日談』このおじいちゃん、夜に徘徊されるもんで、安全の確保が難しくなり、老人養護施設かなにかに転院されました。何の具合だったのか、その施設で元気になっちゃいました。本当に脳は難しい・・・

(K氏の場合)
この方、前の病院でP氏と同じ部屋だったらしい・・・。勿論P氏は覚えていないのだけれど。
入院はP氏より早かったのですが、転院はP氏より半月遅れてやってきました。転院当初はやはり不安なのか、奇異な行動も目立ちました。例えば、朝方の3時か4時に突然叫び声が響きました。

『あ゛〜、い゛〜、う゛〜、え゛〜、お゛〜』

もちろんビックリしてP氏は飛び起きた訳ですが、そのP氏の耳にK氏の声が・・・
「あ〜、叫んじゃった(^^。」
おいおい、夜中にそんな・・・・・(^^;;;。苛ついてたのかな???


なんか文にすると、大変そう。いや、実際に大変だったらしいんだけど、P氏とこのおじいちゃん達の関係は全然悪くなかったらしい。いや、それどころか、P氏によると愛着さえ湧きそうな感じだったらしい。
と言うのも、普通あんまり愛していない嫁にしろ(おいおい^^;;)、本当に愛している子供にしろ、24時間を共に過ごすことはほとんどないと思う。このおじいちゃん達は異常事態とは言え、24時間を一緒に過ごすのだ。愛情くらい湧くってもんだ。キスくらいしたろうか(あ、嘘っす^^;;;。)

今月はこれくらいかな。また来月っすね(^^。



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